地形地形図
 見島は周囲約24.3kmの小さな島です。南北に約4.6km、東西に約2.5kmで形はほぼ二等辺三角形ですが、長尾の鼻(北灯台)を鼻に見立てると、全体が牛の形をしていることに気づくはずです。
 牛の背中にあたる西側は傾斜がきつく、島の南側の本村と東側の宇津の二ヶ所に集落があります。
 面積約7.8km3の割にはかなりの起伏があり、イクラゲ山(181m)を最高峰に、カンハタ(123m)、ミヤマガナカ(175m)などが島の西側に背嶺山地を形成しています。
 また、島のほぼ中央部に位置するセタカは北を宇津、南を本村に分け、それぞれかなりの平地が広がっています。

詳細地形図(2,790 x 3,803 pixels/350,046bytes)

地質
 見島は、今から数百万年前(中新世後期〜鮮新世)の火山活動によってできた島です。見島を形成した火山活動は、「山陰火山岩」と呼ばれています。
 この山陰火山岩は、下関市六連島、豊北町角島、油谷町向津具半島など山口県の北西部の日本海沿岸に点々と分布しています。山陰火山岩は地図の示すとおり、「環日本海アルカリ岩石区」の一部を形成しています。隠岐、壱岐、五島列島、済州島等と同じものと考えられています。
 見島の山陰火山岩の岩石学特徴は、溶岩がもとになってできた玄武岩や安山岩と、火山岩礫が堆積してできた、火山礫擬灰岩から擬灰角礫岩などの火山砕岩からなり、見島を形成するために、何度かの火山活動があったことを物語っています。火山礫擬灰岩から擬灰角礫岩などの火山砕岩は、本村南西の海岸や観音崎などに分布し、主に玄武岩の角礫です。これは見島の火山活動の初期に出来たものです。玄武岩は島内のほぼ全域に分布しており、カンカン石を多く含むものが多い。中でも特にカンカン石が多いものを、「ピクライト質玄武岩」といい、県内では見島にしか見られないものです。玄武岩の層の厚さは150m以上もあり、この初期の活動で見島が島になったと思われます。近年、この玄武岩の中でも赤色のものは、萩焼きの染色原料としても使われています。
 安山岩はセタカ、オヤマの山頂付近と日崎の先端付近に分布していて、これらは見島の火山活動の終期のものです。その後の表面の風化や侵食によって現在の見島を形づくっています。
 このように見島は、火山岩が幾層にも累積しているため、地下水の流水面が幾つもできて高地までわき水があるあることから、高い所まで水田が開けるわけです。
 明治39年3月発刊の鈴木氏の文献によると『玄武岩の爛に埴土となれるものは、吸収力強く、一度その土壌に肥料を施せば永年これを保持し、かつ大気の透通適当にして乾湿に逢うも土壌の伸縮少なく、その土壌は自ら諸般作物の栽培に適せり』とあるのも、玄武岩地質にかかわって興味深い記述です。

気候 海流図
 日本海に浮かぶ絶海の孤島というと、「寒い島」というイメージがわきますが、山口県内で最も暖かい地域のひとつなのです。その理由は対馬暖流の影響です。
 年間気温は瀬戸内とほとんど同じ17度Cで、月別に見ると1月〜3月では7.4度Cと山口県内では類を見ないほどに暖かいのです。一方、夏。7月・8月の気温は24.9度Cで山口県内内陸山間地を除くと瀬戸内や北長門海岸域よりも低く過ごしやすいのです。
 しかし、冬の季節風が吹くとこのイメージは一変します。冷たい季節風は容赦なく島を襲い、その冷たい風のために体感温度はかなり厳しく感じます。4月から9月までの時期は南西風が吹き、海も穏やかになります。
 暴風は山口県内でも多いほうですが、自然災害はむしろ干害の方が多のです。晴天日数は本土と変りはなく、快晴日数は比較的少なく、曇天日数が多く裏日本型の気候です。


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