○期 日 | 8月15日(土)〜23日(日)各日とも13時から<8月17日(月)は休館日> | |
○会 場 | 山口県立萩美術館・浦上記念館講座室 | |
○観覧料 | 無料 | |
○主 催 | 山口県立萩美術館・浦上記念館、HAGl世界映画芸術祭実行委員会 | |
○協 力 | ユーロスペース |
◎お問い合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館
〒758-0074 萩市平安古586-1 TEL0838-24-2400(代)
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バルテュス Baltbus the Painter |
1996年/イギリス/カラー/51分/ビデオ 監督=マーク・カイデル 出演=バリテュス/節子夫人/勝新太郎 | |||
今年89歳のバルテュス(フルネームは、バルタザール・クロソウスキー・ド・ローラという)は今世紀の最も偉大な画家の一人である。ポーランド貴族の流れをくむ旧家の出身で、幼少の頃よりリルケやボナールら芸術家に囲まれて育つという恵まれた境遇にあった。しかし、独学で絵を学んだ彼が少年時代から今にいたるまで創出しつづけるのは、いかなる潮流にも属さない、節謐なエロティシズムに彩られた唯一無二の世界である。隠遁生活をおくる仙人のように住まうスイスの山荘にカメラを持ち込み、そのインタビューをとらえた貴重なドキュメンタリー。そして、バルテュスが愛したもう一人の主投“勝新”がその山荘に登場するという瞬間にさえ立ち合うことができる。 | ||||
ピエール・クロソウスキー ―イマージュの作家 Pierre Klossowsuki, Un Ecrivain en Images |
1996年/フランス/カラー/47分/ビデオ 監督=アラン・フレツシャー 出演=ピエール&ドニーズ・クロソウスキー | |||
若い頃は主に翻訳家であり神学者、そしてニーチェやサドの研究者(「わが隣人サド」)として。45歳にして小説と、その挿絵の素描を始める(「ロベルト3部作」)。さらに65歳を過ぎた70年代以降は画家としてのその活動に専念し、またシネマに魅せられ「ロベルトは今夜」の映画化に際して自ら脚本を書き、夫人とともに出演する。本人いわくそれもすべて偏執のなせる技。バルテュスの兄にして、知性とエロティシズムの偉物クロソウスキーの全貌を、1時間たらずの映像で理解できるはずもない。しかし、カメラの前で、その生涯と主に映像化された作品について語る本人の姿は一つの手がかりとなるだろう。 | ||||
イアン・ケルコフによる パフォーマンス・ アーティーストたちの肖像 3 Performance Artists:Portraits by Ian Kerkhof (提供=スタンス・カンパニー) | ||||
現代サブ・カルチャーの発信地、アムステルダム出身の気鋭の映像作家イアン・ケルコフ。初の長編劇映画を含めその作品が続々と日本公開待機中だが、今回は自らも音楽やパフォーマンス活動を行なう彼による、3人の個性的なアーティストたちのポートレートを一挙公開! |
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エレクトロニック・スーパーハイウェイ: 90年代のナムジュン・パイク Electronic Super Highway : Nam June Paik in the 90's |
1995年/アメリカ/カラー/40分/ビデオ 監督=ジャッド・ヤルカット 出演=ナムジュン・パイク | |||
1974年、パイクはロックフェラー財団のためにレポートを作成した。その中で彼はその後起こるだろうテクノロジー革命を予想し(それは実際ほとんどその通りになった)、「エレクトロニック・スーパーハイウェイ」構想を提唱した。20年を経て、パイクは自分自身の“サイバータウン”を「エレクトロニック・スーパーハイウェイ」展内に作り上げた。同名の展覧会のビデオ・カタログとして制作された本作では、郵便局長の扮装で豊場するパイクが“サイバータウン”を紹介し、過去から未来にいたる自らの芸術活動とテクノロジーについて語り続ける・監督はフルクサス時代からの盟友でもある映像作家のヤルカット。 | ||||
ブルース・ナウマン― MAKE ME THINK Make Me Think : Bruce Nauman |
1996年/仏・独・英/カラー/51分/ビデオ 監督=ハインツ=ペーター・シュヴェルフェル 出演=レオ・カステリ/ショゼフ・コスース | |||
60年代半ばから、ネオン管や鉄を使った立体、ボディ・アート、パフォーマンス、映像など様々な方法と作品で美術界に衝撃を与えつづけるアメリカ人アーティスト、B・ナウマン。その作品は攻撃的かつ挑戦的、そして時に耳を塞ぎたくなる―拷問されるピエロの叫び声が響いたりするのだから。しかし、ナウマン自身は自宅にこもりインタビューを拒絶する。現役のアーティストが対象であるにもかかわらず、この作品にその人は登場しない(ある一ヵ所以外は)。「しかし、監督は、ビデオの回廊やマルチ・モニターといったナウマンの手法を借りることで、そして周辺の人々を登場させることで、彼の姿を浮き彫りにしていく。 | ||||
タブル・ブラインド Double-Blind |
1992年/アメリカ/カラー/74分/ビデオ 監督+出演=ソフィ・カル/グレッグ・シェファード | |||
1979年、自分の部屋のベッドで眠るよう、見知らぬ人々を招待し、それを写真とテキストで構成した作品て鮮烈なデビューを飾ったフランス人女性アーティスト、ソフィ・カル 以降、落とし物の手帳に書かれた番号に電話して、落とし主の姿を探る「手帳の男」、ホテルのメイドになりすまし、部屋の様子を記録した「ホテル」なと、現実と虚構の間を行き来するストーリーを持つ作品を発表している。なかでもカル自身がテーマの「自寂伝」シリーズの発展形として、自らの恋愛、結婚と別れを綴ったこの映画はある。映画を作りたがっているアメリカ人の彼とよりを戻すために、お互いにビデオに向かって自分の気持ちを告げながら撮影をするという方法てのアメリカ横断旅行を提案するカルニ。しかし、その旅行は“No Sex Last Night”というキーワードに象徴される。ダブル・ブラインド(二重の盲目)な男と女の絶望的て、少し滑稽なディスコミュニケーションを記録したこの映画は、恋愛ドラマとしても胸をうつ。 | ||||
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ローザス・ダンス・ローザス Rosas Danced Rosas |
1997年/ベルギー/カラー/57分/ビデオ 監督=ティエリー・ドゥ・メイ 出演=ローザス 振付=アンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケル | |||
現代のベルギー、そしてヨーロッパをも代表する振付家ケースマイケルとそのグループ、ローザスの記念すべき第1作「ローザス・ダンス・ローザス」(初演:1983年)が斬新なフィルム・アダプテーションとして生まれ変わった。監督のドウ・メイは、この作品を初めローザスや他のベルギー人振付家との音楽のコラボレーションでも知られる気鋭の音楽家。女性ダンサー4人による壮絶な戦いのようなダンスは、音楽に寄り添う動きの反復と変化からなる4つのパートで構成されている。本作品は、ベルギー人建築家ファン・デ・ヴェルデが設計した美しい学校建築を舞台に、ローザス作品に通底する美学を再現しながらも独自の映画空間を創り出している。 | ||||
クラム Crumb |
1994年/アメリカ/カラー119分/ビデオ 監督+プロデューサー=テリー・ズウィゴウ 出演=ロバート・クラム/チャールズ・クラム他 | |||
60年代カウンター・カルチャーのヒーロー、アンダーグラウンドのコミック作家、ロバート・クラム。彼は、性的妄想、人種差別、女性蔑視や強迫観念など“心のダークサイド”を描き、幸福な生活の見かけの下に隠されたアメリカの欺瞞と病巣を暴き出したアーティストだ。クラムとは25年来の友人でもある監督が、8年間にわたるインタビューの未に完成させたこのドキュメンタリーは彼のキャリアを辿り、そこに含まれる自伝的要素や個人的オブセッションを解明しながら、作品の背景にある特異な家庭環境と幼年期を浮き彫りにする。 | ||||
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ウェグマンの世界 Wegman's World |
1996年/オランダ/カラー/60分/ビデオ 監督=チェリー・デュインズ 出演=ウィリアム・ウェグマン/ワイナラマー犬 | |||
ワイナラマー犬を被写体にしたユーモアとペーソスあふれる大型ポラロイド写真で知られるアメリカ人写真家ウィリアム・ウェクマン。最初のモデル犬マン・レイとの出会いをきっかけに写真を表現の手段にする以前から、彼は絵画やフィルムなどを駆使するマルチ・アーティストだった。ウェグマンとマン・レイ、そしてその死後2代目のモデルとなったフェイ・レイやその子供たちとの関係は、単なる飼い主と飼い犬のそれでも写真家と被写体のそれでもない。アーティストとしての足跡と犬たちとの生活、さらには最新作の厳しくも微笑ましい撮影風景(一体あれはどうやって撮っているのでしょう?)など、人気写真家ウェグマンの世界を紹介する。 | ||||
写真家ペール・マニング Per Maning, Photographer |
1994年/ノルウェイ/カラー/26分/ビデオ 監督=スティグ・アンデルセン 出演=ペール・マニング | |||
かつて、ペール・マニングは成功したアート・ディレクターだった。しかし、愛犬レオが不治の病に冒されたとき、彼は写真によるレオの記録を始めた。そしてレオの死後は、別の動物たち―あざらし、豚、牛など―愛犬の姿を見出し始める…。この一種奇妙なシリーズ写真によって彼はノルウェイを代表する写真家となる。愛すべきドキュメンタリー。 | ||||
落水荘:ライトと弟子たら Fallingwater : Apprentices |
1996年/アメリカ/カラー/56分/ビデオ 監督=ケネス・ラブ 出演=エドガー・ターフェル | |||
滝の上に建つ“ワメリカ建築史上もっとも美しい家”、落水荘に関するドキュメンタリー・パート2。今回の主人公はライトの工房「タリアセン」に学び、落水荘の建設に携わった弟子の建築家たちだ。師としてのライトのエピソードも含め、より具体的に家の成立ちがわかる。 |
美術やダンスなどの芸術表現を扱った記録映像において、近年あたらしい感性の映像作家たちによるすぐれた作品が生まれています。これらは、芸術家や作品を第三者的に紹介する教養番組的な構成や、古めかしい美術映画とは全く異なる今日的なドキュメンタリーです。 映像作家が独自のスタイルで作品や芸術家への思いを自由に表現した映像は、被写体であるアーティストと撮影者である映像作家とのコラボレーション(共作)であり、相互の親密な対話の記録といえるものでしょう。 |