『ポネット』は、たった4歳で大好きなママの死に直面した少女が、なんとか自分なりのやり方て死と向かい合い、のりこえていくまでの心の軌跡を描いている。
　大人にとって“あたりまえ”のことがポネットにはわからない。でも“あたりまえ”はいつから誰が“あたりまえ”にしたのだろう。ポネットの純粋なひたむきさは、大人になるにつれてなにかをあきらめてしまう人生に、ちいさいけれど、ほんものの希望とよろこびを贈ってくれる。駆け足て生きる私たちに“こども時間”の大切さを静かに語りかけ、魂を深く揺さぶる、特別に感動的な映画なのだ。

「ママ、ここに来て…」
死んだ母を待ち続ける少女
ポネットのひたむきな祈り

　ポネットの母は事故で死んでしまった。幼いポネットにわかるのは、ママがここにいないことだけ。きっと会いに来てくれる…そう信じてポネットはひとり母を待ちつづける。草原にねころび、ベッドでお祈りをして…。大人がする“死”の説明に満足できずに、ポネットは自分の世界に閉じこもる。やがて泣き疲れた頃、静かに“奇跡”が訪れた…。

少女の瞳に映るのは…
「ミツバチのささやき」
「禁じられた遊び」以来の
世界的傑作！

　映画に描かれてきた、夢と現実の間をさまよう幼い少女たち。両親の死に遭い、墓作りで心を癒す『禁じられた遊び』のポーレット。精霊のささやきに包まれフランケンシュタインを呼ぶ『ミツバチのささやき』のアナ。そして『ポネット』。そのあどけない瞳は、大人の世界の鏡となって心の忘れものを映し出す。20年に一度の世界的傑作の誕生だ。

人間の真実の瞬間を描き出す
フランスの名匠
ドワイヨン監督の最高作！

　監督はジャック・ドワイヨン。妻ジェーン・バーキンとともに作った『ラ・ピラート』など、人間の“真実”の瞬間をみごとに映し出すフランス映画界の名匠だ。監督は、あらすじだけを用意して、何百人ものこどもたちから“死”について聞き、セリフを集めた。そしてポネットを演じるヴィクトワール・ティヴィソルに出会い、まだ死を理性的に受けとめられない4才の幼いこどもの眼でみた世界を描くことに決めた。そのみずみずしいセリフ、自然な演技は驚異的で、プロの俳優を遥かに凌ぐ天賦の才能を感じさせる。