もっと本気で映画作りに挑もう!


 「CINEMA塾」がHAGI世界映画芸術祭で産声をあげて、今年で5年目。
 大先輩の映画監督、プロデューサーの諸氏をゲストに迎え、毎年夏、合宿をしながら、本気で映画のことを勉強しようよ、を合い言葉に頑張ってきた。1年ごとに「塾」の中身を濃くしていこうと試行錯誤を重ねてきたが、映画のことを深く勉強しようとすればするほど、現場が欲しい、という当然の欲求が芽生えてきた。
 「CINEMA塾」塾生たちの力で映画を作ってみたい、という私たちの願い――夢をHAGI映画祭実行委員会が全面的にバックアップしてくれた。
 98年、暑かった夏、全国から集まった塾生たちが見島で合宿しながら、島の人たちと出会い、話を伺い、関係を作り、撮影をさせていただいた。そして作り上げたのが『わたしの見島』である。
 言うまでもなく、塾生たちは、映画作りに関してはズブの素人である。映画作りとはどんなものか、という興味で集まった素人たちが、見島で生きる生身の人たちを相手に、島で生きていく意味を探り、そのことで、他ならぬ塾生たち自身が、己の生き方を振り返ってみようという契機になれば、というのが塾長である私の狙いであった。
 「人は、一人では生きられない」――被写体である人たちが抱えている家族や村落という共同体の問題と、「映画は一人ではできない」――個人だけの力量だけでは映画作りは成立しない、というカメラの前と後ろ側の、それぞれの問題を、まさに活きた現場で、体で知っていこうという趣旨であるが、この作業は決して容易ではなかった。
 私は、集まった塾生たちに、こう言った。ここに来たのは、苦しむためにきたと思えよ、と。自分の持ってる力の150パーセント、いや200パーセントのエネルギーをかけて取り組めよ、とも。
 素人たちが取り組んだのだから、作品としては未熟でも、彼らの努力を汲んでやって欲しい、とは言いたくない。完成すれば、作品の出来が全てだよ、と塾生たちを叱咤激励し続けた。それでもミスや甘い判断をする塾生たちを怒鳴りつける私の顔が“鬼気迫るものがあったよ”と、応援に駆けつけた友人が評したくらいだ。本当にきつい作業だったのである。
 かくして塾生たちと私が組んだ第1回作品が完成した。欠点が色々あるのは百も承知だが、まずは世の評判にさらされよう。そして次のステップに踏み出したいのだ。
 今年のHAGI「CINEMA塾」夏期合宿は“もっと本気で映画作りに挑もう!”が合い言葉だ。塾長としては、第2回作品に向けて踏み出したいと願っているのだが、映画作りを本気で考えてみようと志す人は、HAGIに集結されたし!!!
「CINEMA塾」塾長 原 一男

ゲスト監督、塾長紹介

黒木和雄(映画監督):ゲスト

 1930年三重県生まれ。幼少時代を満州で過ごす。1950年、同志社大学法学部に入学。学生運動と映画鑑賞に明け暮れる日々を送る。54年に大学卒業後、岩波映画製作所に入社し、演出部の助監督となる。57年、監督に昇進。PR映画の注目作を立て続けに発表する。同年、土本典昭、東陽一、小川紳介らと「青の会」を設立。61年に岩波映画製作所を退社してフリーとなり、今日に至る。記録映画育ちの凝視の原点から人間の内面に迫る作品を作り続けている。
 主な作品に、『わが愛北海道』(62年)、『あるマラソンランナーの記録』(64年)、『とべない沈黙』(66年)、『日本の悪霊』(70年)、『竜馬暗殺』(74年)、『祭りの準備』(75年)、『TOMORROW/明日』(88年)、『浪人街』(90年)など

Kazuo vs. Kazuo !!

原 一男(映画監督):「CINEMA塾」塾長

1945年山口県生まれ。1972年「さよならCP」でデビュー。1974年「極私的エロス・恋歌1974」、1987年「ゆきゆきて、神軍」はベルリン映画祭カリガリ賞を受賞。1994年「全身小説家」
 「CINEMA塾」は、95年8月のHAGI世界映画芸術祭での<活動屋宣言>と共に活動開始。昨年の「CINEMA塾」夏期集中合宿では萩市の離島・見島で第1回CINEMA塾映画作品「わたしの見島」を塾生と共に撮影。

塾スケジュール


8/19(木) 8/20(金) 8/21(土) 8/22(日)
9:00 9:30〜ミーティング 9:30〜ミーティング 9:30〜ミーティング
10:00 10:00〜受付 塾長講義(1) 塾長講義(2)
表の横幅合わせダミー文字列・
塾長講義(3)
11:00 オリエンテーション
12:00 昼食 昼食 昼食 解散
表の横幅合わせダミー文字列・
13:00 「CINEMA塾」とは?
『我ら自身のドキュメント』

『ぼくのいる街』
●映画上映
『飛べない沈黙』
●映画上映
『あるマラソンランナーの記録』
14:00 ●映画上映
『さようならCP』
●映画上映
『極私的エロス・恋歌1974』
15:00
16:00 対談(1)
黒木和雄 vs. 原一男
対談(2)
黒木和雄 vs. 原一男
17:00 宿舎へ
18:00 夕食 夕食 夕食
19:00 ●スペシャルセレモニー
+上映会『わたしの見島』
●映画上映
『竜馬暗殺』
●映画上映
『祭りの準備』
20:00
21:00 交流会(1)
表の横幅合わせダミー文字列・
交流会(2)
表の横幅合わせダミー文字列・
交流会(3)
22:00
23:00 宿舎へ 宿舎へ 宿舎へ

「CINEMA塾」について

「CINEMA塾」は、95年8月のHAGI世界映画芸術祭での<活動屋宣言>と共に活動開始。昨年の「CINEMA塾」夏期集中合宿では萩市の離島・見島で第1回CINEMA塾映画作品を塾生と共に撮影。
※映画祭及び塾開催期間中は、多彩な映画関係者が来萩されます。また、交流会にも参加されます。

《内容》
映画製作について、塾長の原一男監督とゲスト監督、参加者が徹底的に考え、検証し、映画製作に関わる人材を育成しようという塾です。

募集要項

◆期  間1999年8月19日(木)〜22日(日)
◆会  場萩スカイシネマ、他
◆参加資格学歴、性別、年齢は一切問いません。
◆参 加 料40,000円(3泊4日の宿泊費、食費、交流会費、テキスト代)
◆募集人員60名(先着順)
◆申込方法規定の参加申込書にて、7月末日までに事務局までご送付下さい。


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